
単発派遣で現場に入るとき、一番つらいのは「忙しいから来てほしい」と呼ばれたのに、その忙しさのせいで指示すら出してもらえないことです。せっかく力になりたくて来ているのに、何をしていいかわからないまま時間だけが過ぎていく。こちらとしても役に立ちたい気持ちがあるからこそ、動けないもどかしさは大きいです。
同じ介護・医療業界にいる以上、移乗や食事介助といった基本的な業務は、初めての施設でもある程度こなせます。ただし、利用者さん一人ひとりの細かいポイントは、そこで働いていない限りわかりません。左麻痺があって立位は可能なのか、ズボンの上げ下ろしに介助が必要なのか——そうした情報が少しでもあれば、動き方はまったく変わってきます。
😥困る施設で起きていること
実際に単発派遣で困った経験のあるポイントを挙げると、こんなことが重なります。
- ✓ 指示を出す余裕がないほど現場が忙しい
- ✓ 移乗や食事介助に必要な個別情報が共有されない
- ✓ 物品の場所がわからず、夜勤で1人のときに困る
- ✓ 二人介助が必要な人、センサーコールの対象者がわからない
- ✓ 教えられていないことを、あとから当然のように指摘される
特に最後の「あとから当然のように指摘される」のは地味にこたえます。以前、おむつ交換のときにバルンの尿量も一緒に確認しておむつ表に記入する決まりの施設がありました。事前に説明はなく、カルテ記入の際に量が合わずこちらから聞いてはじめて「そうですよ」と言われただけ。悪気はなかったのかもしれませんが、正直あまりいい気持ちはしませんでした。
📋助かったマニュアルはこんな内容でした
逆に、スムーズに動けた施設にはある共通点がありました。利用者さんの情報を、持ち運べるファイルにまとめてくれていたのです。顔写真の下に特徴やポイントが書かれているだけで、初めての施設でもかなり動きやすくなります。中身を項目ごとに紹介します。
食事のポイント
- ✓ トロミの有無と量
- ✓ 水分制限がある人の量
- ✓ 朝食が牛乳・ヤクルト・野菜ジュースのどれか
- ✓ 使うコップやスプーンの種類、吸い飲みの使用有無
- ✓ コップやエプロンへの記名、エプロンの要否
排泄・体位変換のポイント
- ✓ おむつ交換の時間とパットの種類
- ✓ 体位変換の時間と方向
- ✓ ナンセントパット使用時の当て方(写真つきだとなお助かる)
- ✓ 日中はリハビリパンツ、夜はおむつ、といった使い分け
- ✓ バルンの尿を落とす時間
服薬のポイント
- ✓ トロミで飲むかどうか、粉砕するかどうか
- ✓ 眠前薬の時間、座薬を使う時間
- ✓ ラキソベロン内用液の滴数と時間
経管栄養・インスリンのポイント
- ✓ 胃瘻注入の栄養剤の種類、白湯の量と滴下時間
- ✓ インスリンの種類・単位数・投与するタイミング
安全管理・1日の流れ
- ✓ 物品の場所(特に夜勤で1人になるとき)
- ✓ 二人介助が必要な利用者や処置
- ✓ 転倒リスクがあり、センサーコールをオンにしておく利用者
- ✓ 付箋や物品の場所
- ✓ 休憩開始の時間(出勤時にひと言あるとありがたい)
出勤時に1日の流れをざっと説明してくれる施設、申し送りノートに沿って教えてくれる施設もありました。どちらの形であっても、最初に流れさえつかめれば、そのあとの動きは格段にスムーズになります。
🔁丁寧な施設ほど、また行きたくなる
丁寧に指導してくれた施設には、単純にまた行きたいと思います。しかも一度説明を受けていれば、次に呼ばれたときは前回の内容通りに動くだけで、あらためて聞かなくてもスムーズに業務が進みます。つまり、施設側にとっての教育コストは最初の1回だけで済み、その後はリピートしてもらいやすい派遣ナースを確保できる、ということでもあります。マニュアルにかける手間は、忙しい現場ほど後々の負担を減らす投資になっているように感じます。
📝まとめ
単発派遣ナースが「聞けばいいのに」と思われがちなのは、実は忙しい現場では聞くタイミング自体が奪われているからです。
マニュアルといっても分厚い資料である必要はなく、顔写真つきのファイル1枚、チェックリスト形式のメモだけでも十分に機能します。
丁寧に教えてくれる施設ほど、また行きたくなる。単発派遣という働き方の中で、それが正直な実感です。


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