この記事で分かること
- ショートステイを実際に使っているのはどんな人か
- 施設の中で、利用者さんがどう過ごしているか
- 「施設にいれば転ばない」わけではない理由
- 長く使うときのお金と、受診のときに確認しておきたいこと
- 家族が準備しておくと安心なこと
ショートステイを使うとき、制度のことはケアマネジャーさんが説明してくれます。
でも、迎えの車に乗ったあと、施設の中でどんなふうに過ごしているのかは、家族にはなかなか見えませんよね。
私は看護師として、ショートステイの部署で働いたことがあります。夜勤に入ったこともありますし、ケアマネジャーの資格も持っています。
この記事では、「説明ではこう言われるけど、現場では実際こうだった」ということを、家族の方に向けてお伝えします。

ショートステイを使うのはどんな人?
説明では「介護している家族が休むため」「冠婚葬祭や用事のとき」と言われることが多いと思います。もちろんそういう方もいますが、現場でよく見たのは次のようなパターンでした。
① 施設の順番待ちをしながら使う
本人の体が弱ってきて、家での生活が難しくなってきた方。ショートステイを使いながら老健や特養に申し込んでおいて、順番が来たらそのまま入所、という流れはとても多かったです。
② 介護している家族が入院したとき
夫婦二人で暮らしていて、介護していた方が病気で入院することになった。その間だけ利用する、というケースです。
③ 突然、見る人がいなくなったとき
介護していた息子さんが急に脳梗塞で倒れた、など。緊急でショートステイを使うことになる方もいました。
そして、1日だけ家に帰ってまたショートに来る、を繰り返したあと、結局は施設への入所を希望される家族が多かったです。
一番の理由は「家族では見られない」ということ。心配だけど、見られない。そういう家族をたくさん見てきました。
施設を選ぶことに後ろめたさを感じる方もいますが、家族が倒れてしまっては元も子もありません。ショートステイも施設入所も、家族が自分を守るための大事な選択だと、私は思っています。
ひとこと:ショートステイは予約が取りにくく、ふだん使ったことがない施設だと、緊急のときに受け入れてもらえないこともあります。元気なうちに一度使っておくと、いざというときに安心です。
本人が嫌がるときは?
「施設に泊まるなんて嫌だ」と、ショートステイを嫌がる方は少なくありません。家族としては、無理に連れて行くのもつらいですよね。
現場では、嫌がる方には最初は1日だけなど期間を短くして、それを何回か繰り返すようにしていました。少しずつ場所や職員に慣れてもらって、「ここなら大丈夫」と安心してもらう方法です。
それでも、どうしても家に帰りたくて、施設から出て行こうとする方もいます。それだけ本人にとっては不安が大きい、ということなんですよね。
いきなり長く預けるより、短い利用から始めて慣れていくほうが、本人も家族も楽になると思います。家での好きなことや、落ち着くきっかけ(好きな話題、いつも持っている物など)を施設に伝えておくのも助けになります。
施設の中では、どう過ごしている?
日中は、機能訓練やレクリエーションがあります。私が働いていたところでは、こんな感じでした。
- 廊下歩行や体操は、午前と午後に30分ずつくらい
- 物づくりなど、指先を使う活動が多め
- ボランティアさんの音楽鑑賞や行事が月に何回か
ただ、家での生活とは大きく違うところがあります。
家では、草抜きや掃除、畑仕事など、毎日の暮らしの中で自然に体を動かしていますよね。施設ではそれができません。
体操の時間はあっても、一日に動く量は家より少なくなりやすいのです。「ショートから帰ってきたら、なんだか弱っている」と感じる理由のひとつは、ここにあると思います。
草抜きをしていたら怒られた、という話
一方で、家で草抜きや畑仕事をしていて転倒する方も多いです。利用者さんからは「草抜きをしていたら家族に怒られた」「芋を植えたら怒られた」という話をよく聞きました。野菜を作っていて骨折した、という話も珍しくありません。
家族が心配する気持ちはよく分かります。でも、全部やめさせてしまうと、体も気持ちもかえって弱ってしまうことがあります。
しゃがみっぱなしにしない、暑い時間を避ける、足元の悪い場所ではしない、など。禁止するより、安全にできるやり方を一緒に考えるほうが、本人にとっても家族にとってもいいと思います。

「施設にいれば転ばない」わけではありません
家族の方は「施設に預けたら安全」と思われるかもしれません。でも、現場で働いていた私の実感は、施設に入ったから転倒しない、はないということです。
ショートステイは、ふだんと違う部屋、違うベッド、トイレの場所も違います。家より転びやすい条件がそろっているんです。
特に危ないのは、夜中や明け方の眠たい時間。寝ぼけた状態で、慣れない場所を歩こうとして、ふらつく方が多いです。
夜はスタッフの人数が少ないので、トイレ介助が重なると、すぐに行けないこともあります。正直、ひやひやする夜もありました。
家族ができること
- 家での夜のトイレの様子(回数、歩けるか、ポータブルトイレを使っているか)を施設に詳しく伝える
- 夜のトイレをどう対応してもらえるか、利用前に聞いておく
- 迎えのときに「転倒はなかったか」を必ず聞く
頭を打ったときは、帰ってからも様子を見て
頭を打った転倒だと、その場は元気でも、数週間たってから症状が出ることがあります。
転倒の場にいたスタッフとして、検査を受けられないまま様子を見るのは、とても不安でした。
帰宅後しばらくは、ぼんやりしている、歩き方がおかしい、吐き気があるなど、「いつもと違う」がないか見ておいてください。気になるときは、ショートが終わったあとでも、かかりつけ医に相談して大丈夫です。
長く使うときのお金のこと
ケアマネジャーさんからは、次のような説明があると思います。
- 連続して30日を超えると、31日目は全額自己負担になる
- 利用日数は、介護認定の有効期間のおおむね半分までが目安
現場では、自費の日が出ることを分かったうえで1か月以上続けて利用する方や、受診の日だけ家に帰って、次の日の朝にまた来る方もいました。
ただ、何日帰れば数え直しになるのか、お金がどうかかるのかは、帰る日の作り方でも変わります。長く使う予定があるときは、ケアマネジャーさんに具体的に確認しておくと安心です。
受診はどうなる?利用前に必ず確認を
ショートステイ中に熱が出たり、転倒したりして、病院に行く必要が出ることがあります。
このとき、受診の付き添いは基本的に家族になることが多いです。「預けたら終わり」ではなく、何かあったら家族の出番がある、と思っておいてください。旅行中や仕事中に施設から電話が来て慌てる、ということもあります。
また、受診の扱いは、ショートステイの種類(特養などか、老健か)や施設によって違います。以前働いていた施設では、受診について家族への説明が十分ではないと感じることがありました。疑問に思って市に確認したら、説明と違う答えが返ってきたこともあります。
利用前に聞いておきたいこと
- 熱や転倒などで受診が必要になったら、どうするのか
- 付き添いは家族か、施設か。家族がすぐ行けないときはどうなるか
- 受診したときの費用はどうなるか
- 確実に連絡がつく電話番号を伝えておく
説明に納得できないときは、そのままにしないでください。ケアマネジャーさんが施設と同じ法人で相談しにくい場合は、市の介護保険の窓口や、地域包括支援センターにも相談できます。
まとめ
ショートステイは、介護する家族にとって本当に心強いサービスです。でも、「預けたら安心」だけではなく、知っておいてほしいこともあります。
- 施設では家より動く量が減りやすい
- 慣れない環境で、夜中や明け方は転びやすい
- 長く使うときのお金、受診のときの対応は、必ず事前に確認する
- 疑問があれば、ケアマネジャー・市・地域包括支援センターに相談していい
心配だけど、家族だけでは見られない。そう感じるのは当たり前のことです。上手にサービスを使いながら、家族も自分の体と生活を大事にしてくださいね。
ショートステイで看護師として働いた体験は、こちらに書いています。


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