単発派遣の夜勤で経験した、障害者施設グループホームの現実

はじめに
看護師の単発派遣は、その日ごとにまったく違う現場に飛び込む仕事です。病院やクリニックだけでなく、高齢者施設や障害者施設のグループホームなど、依頼先はさまざまです。事前に得られる情報は限られていて、実際に施設に入ってみて初めて分かることがほとんど。今回は、ある障害者施設グループホームで経験した、今でも忘れられない夜勤について書こうと思います。単発派遣に興味がある看護師さんの参考になればうれしいです。
その日の勤務内容
担当したのは、5人の利用者が一つの建物で生活する、きれいな平屋のグループホームです。その建物が複数あり、それぞれの建物に夜勤職員が一人すつ配置されていました。その中の一つを担当する夜勤でした。
精神疾患のある方が多く、事前にもらえる情報はごく簡単なもので、実際に顔を合わせてから一人ひとりの状況を把握していく形になりました。
派遣先によっては申し送りがしっかりしている施設もありますが、この日はほぼ手探りのスタートでした。単発派遣ならではの、初めての場所・初めての利用者に一人で向き合う緊張感を強く感じたのを覚えています。
5人の利用者、それぞれの世界
利用者の一人は、交通事故の後遺症で寝たきりの状態にあり、食事介助が必要な方でした。ただ、まだ若く力も強いため、初めて会う職員には暴力的になってしまうことがあり、おむつ交換の際にも手が出てしまうため、簡単には近づけない状態でした。
もう一人は若い女性で、幼い頃から知的・精神的な障害があるとのことでした。着替えを促すと服を破いてしまったり、加湿器の水を床にまいてしまったり、テレビを何度も投げて壊してしまうこともありました。
同じく若い男性の利用者は、威嚇するような態度で職員を脅すような場面もありました。
少し年配の男性の方はこだわりがとても強く、朝5時から高温のお湯で首から足先まで丁寧に体を拭くのが日課で、飲み物には必ず氷を入れるなど、生活のあらゆる場面に本人なりのルールがありました。それぞれの方に、それぞれの理由やペースがあることは頭では理解していても、初めて会う一晩だけの関わりでは、信頼関係を築く時間もないまま対応することになります。
一人では対応しきれなかった夜
この日の夜勤は、テレビを壊されるなど次々とトラブルが起こり、正直なところ、私一人ではとても対応しきれませんでした。
急いで他の棟の職員さんに電話をして助けを求めました。するとすぐ駆けつけてくれて対応してもらえました。
力の強い利用者に対してどう距離を取ればいいのか、こだわりの強い方にどこまで付き合えばいいのか、とても対応が難しかったです。利用者お一人おひとりに合わせた関わり方や、安全な対応方法など、十分な情報や研修がないまま現場に入ることの怖さを痛感した夜でした。
この経験から、私はこの施設への単発派遣は利用者にも、他の職員さんにも迷惑がかかると判断して、希望するのをやめました。
この経験から伝えたいこと
単発派遣は、施設ごとに雰囲気も利用者の状態もまったく異なり、実際に行ってみないと分からないことがほとんどです。特に障害者施設のグループホームでは、精神疾患やこだわりの強い利用者への対応、時には力の強い利用者への安全確保など、通常の病棟勤務とは違うスキルや心構えが求められます。
これから単発派遣に挑戦しようと考えている看護師さんには、私自身の経験から、いくつかお伝えたいことがあります。まず、できる範囲で、事前に利用者の情報を確認すること。次に、一人体制の夜勤なのか、もし何かあったときに 他の職員さんに応援をお願いできる体制があるのかを確認することです。そして、実際に働いてみて。「これは自分一人では難しいかもしれない」と感じた場合は、無理をしないことも大切だと思います次回からはその仕事を断るという選択肢があってもいいのではないでしょうか。
一方で、同じ派遣で働いていた方に聞いてみると、「私はあっちのグループホームのほうが合っているから、そっちの方がいい」とのこと。人によって働きやすいと感じる環境は違うんだなと思いました。
単発派遣は、いろいろな現場を経験できるので、自分の経験を広げる良い機会にもなります。その一方で、今回の夜勤を通して「自分に合った現場かどうかを考えることも大事だな」と感じました。私の経験が、これから単発派遣を始めようとしている看護師さんの参考に、少しでもなればいいと思います( •̀ ω •́ )y


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